元祖「母親感謝ラップ」?その母親がトンデモない件

2015.11.02

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日本語ラップの中には、「母親感謝ラップ」と呼ばれるような曲が多く存在する。

例えば、“身にしみてわかるぜオフクロ/相変わらずのサポート マジ サンキュー”とラップするZeebraの「結婚の理想と現実」、“オレだってもう今なら言えるね ありがとう dear mama”と歌いあげるK DUB SHINEの「今なら」が有名だ。

他にもHOME MADE 家族の「サルビアのつぼみ」や童子-Tの「In-mail feat.JUJU」など枚挙にいとまがない。

しかしこれらの曲には、本家アメリカに“元ネタ”といえる楽曲が存在する。それが1996年に発表された「Dear Mama」だ。ラップしているのは、90年代前半、シーンを牽引した伝説のラッパー・2パックだ。

“You never kept a secret, always stayed real And I appreciate, how you raised me(訳:母さんは決して隠し事をせず いつも正直だった そんな母さんに育ててもらって感謝してるよ)”とスローなビートにのせて歌った「Dear Mama」は、90sのヒップホップの中でも屈指の名曲だ。

ヒップホップの楽曲では、元々自分の地元や家族のことをラップすることはよくあったが、この曲の発表以降、世界中のラッパーの間で「母親感謝ラップ」ムーブメントが起きた。

しかし! その2パックが曲を捧げた「母親」は、ただものではない! 母の名はアフェニ・シャクール。アフェニはあのブラックパンサー党の党員であった。

ブラックパンサー党とは、1970年代前後に「黒人の武装蜂起による革命での黒人解放」を目的として活動していた武闘派の政治組織。なんとアフェニも2パックを身ごもっているときに政治犯として収監されていたのだ!

たしかに「Dear Mama」でも“And runnin from the police, that’s right(訳:いつも警察から逃げていた)”や“And even as a crack fiend, mama(訳:ママはクラック中毒だったのに)”と歌われている。政治犯で、クラック中毒。それが「母親感謝ラップ」のルーツとなる母親の姿だった!

まさにこの母あってこの子あり! そう思ってしまうほど、2パックも過激なラッパーであった。

ちなみに「Dear Mama」は、ファンへのレイプ容疑で刑務所に収監される前にレコーディングされ、収監された直後にリリースされている。英語なのでなかなかわからないが、“過激な母親への過激な息子からの優しい歌”として、「Dear Mama」はアメリカではヒットしたそうだ。

PHOTO:(C) mnimage – Fotolia.com

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