グーグルのクリエイティブディレクターが「音」を視覚化するとこうなった

2015.09.05

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天才ディレクターが作った「見える音楽」の世界

「グーグル・レスポール・ドゥードル」を覚えているだろうか。2011年6月9日、エレキギター「レスポール」生誕96周年を記念してグーグルのホーム画面のロゴがレスポールになった。演奏・録音ができるという斬新なロゴに世界中のギター少年やギター親父は調べ物を忘れて夢中になったのだった。このアイデアを出したクリエイティブディレクター、アレクサンダー・チェンは自身のVimeoにてギターファンのみならずすべての音楽ファンを夢中にさせる動画を公開している。それが「見える音楽」だ。音程やリズムの変化に独自のルールを作り、円や線といった簡単な図形を用いて音楽を視覚化しているそう。目で感じる、不思議な音楽の世界を紹介しよう。

 

◎「ピアノ・フェイズ」を視覚化してみる

スティーブ・ライヒが1967年に作曲した「ピアノ・フェイズ」第1部の視覚化を試みた映像。2台のピアノがまったく同じフレーズを弾くが、片方がほんの少しだけテンポを早めていくため2台のピアノは少しずつずれていく。約5分後に一周してふたつのフレーズがぴったりと合い収束する。チェン氏はこの2台のピアノの音をそれぞれ赤と青の線で表し、ふたつが重なるときを黒色の線で表現している。赤と青の線がバラバラになっているときはふたつのフレーズを同時に聴き取ることが困難になるが、動画で線を追っていると同じフレーズがどのようにずれているのかがひと目でわかる。終盤にふたつのフレーズがぴったり合う気持ちよさも視覚が加わると倍増だ。

 

◎ザ・ビーチ・ボイーズの名曲を視覚化してみる

ザ・ビーチ・ボーイズの「You Still Believe In Me」を視覚化した映像。教会のベルが音程によって大きさが違うところに目を付け、円周と音程に関係を持たせることによって音の視覚化を試みた。高音になるほど円は小さくなり、色が濃くなっていく。ボーカルが別々に録音された音源から念入りに一音一音を書き出し、聴こえる残響やコーラスの全てを映像に取り込んだのだとか。和音のことがよくわからなくてもどれだけ多くの音が重なっているのかが一瞬でわかるようになっている。

 

◎バッハの名曲を視覚化してみる

こちらはバッハの「無伴奏チェロ組曲」の第1番を視覚化したもの。中央の8本の線を弦とし、動転が弦を通過する際に音が鳴る仕組みだ。弦の長さは音の高さに応じて伸縮する。テンポを示す動転が動画の34秒からふたつの大きな円に沿って一定のテンポでぐるぐる回りだすと、曲がスタートする。五線譜ではリズムは時間と一緒に過ぎ去っていくが、この映像ではリズムは時間と共に進みながらも過ぎ去らずに繰り返す。目で拍感をとらえることができるため、拍を立体的に感じられる。

 

チェン氏の映像の多くは独自の感性によるアート作品というよりも、音程とサイズの数学的関係を作ることによって不特定多数の人が共感できるようになっている。中でも楽譜のなかでいちばん伝わりづらいテンポやリズムが動きとして見ることができるので、音楽に詳しくない人でも曲の特性をつかみやすい。このリアルな音の視覚体験がより精緻なものになれば、映像で拍感や和音構造を感覚でとらえられる“映像楽譜”なるものが生まれる日が来るかも知れない。

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