アーティストが「進撃の巨人」を観てきた!課外活動連載「みんなの映画部」

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Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載「みんなの映画部」。今月は、お盆休みで賑わう映画館にて話題作「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」を観賞しました。賛否両論の本作、映画部員の感想も見事に分かれました……。

 TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)


活動第18回「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」[前編]
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)

観る側のスタンスで感想がすごく変わる映画だと思う

──みんなの映画部、今回はお盆最後の夜にチーム男子で「進撃の巨人」を観てきました! まずは恒例の部長の最初のひと言をお願いします。

小出祐介 めっちゃ面白かったです!

オカモトレイジ 良かったぁ。実はね、俺は……ちょっとわかんないっす(笑)。

──わからない、とは?

レイジ いや……子供向けなんでしょうか?

小出 子供向けではないでしょ? あれだけ人体破壊をしておいて。

──いきなり意見が真っ二つ。面白いパターンですね。

レイジ だから、むしろ安心しました。俺は今日で2回目ですけど、1回目を観たとき、どうもピンとこなくて、逆に「映画部で観たい」って思ったんです。それでコイちゃん(小出)に特撮的な観点からいろいろ教えてもらいたいなと。

小出 これはたしかに、観る側のスタンスで感想がすごく変わる映画だと思うんですよ。で、まず僕のスタンスから言うと、今回、下準備として原作マンガを全巻読んできました。さらに「別冊少年マガジン」のほうの最新話までガッツリ読んできて。

レイジ すごいですね。

小出 というか、原作は「別冊少年マガジン」創刊号で連載が始まったんだけど、創刊2号くらいからずっと読んでたのね、本誌で。だけど、序盤の大事なところで話を見失っちゃってさ。画力的にキャラクターの描き分けができてなかったから、もう誰が誰だかわかんなくなっちゃって(笑)。それで一度挫折しちゃったんだけど、今回改めて読んだら、かなり面白かったんだよね。とはいえ、そこまで入れこんでるわけでもないんで、原作ファンとは結構距離があるという感じです。

レイジ そこは俺もそうです。

小出 この映画を批判する人のメインは「原作と全然違う!」ってことが理由だと思うんだよね。でも僕は頭から切り離して観てたんですよ。だから原作の人気キャラクターのリヴァイが出てこなかったりしても、実写版に落としこむときの変換の仕方として納得できた。でもまあ、「原作ファンは怒るだろうな」とは思う。例えば、この連載でいうと、ももいろクローバーZ主演の「幕が上がる」を取り上げたじゃないですか。あれは逆に、僕が原作(平田オリザ)に心酔している派だったんで、映画版は全然ダメだった。で、あの連載が載ったあと、さらにメイキングも込みで3回観たんですよ。

レイジ マジっすか!?

小出 そう、みんなやたら面白いって言うから、なんとか自分も共有しようと思って努力したの。それで結局、計4回観たことになるんだけど、どんな角度から観てもダメでした(笑)。原作と切り離して一本のアイドル映画として観ても、メイキング観て思い入れを持とうとしても、やっぱり全然ダメだった。

レイジ (笑)。

小出 そういうことがあったから、原作ファンの心理自体はよくわかるんですよね。でも今回の場合は、共同脚本を務めた町山智浩さんのことだったりとか、監督の樋口真嗣さんのことが元々好きな人であれば、その文脈をくんで観ると、すごく面白い映画だって思ったんですよ。特撮モノとして。

 

東宝怪獣映画や「ウルトラマン」へのリスペクトがあってすごく良い

小出 まず、これは樋口真嗣監督の作品に共通して思うことなんですけど、そもそも人間ドラマの演出は苦手なんじゃないかっていう。例えば長谷川博己さんがやったシキシマのキャラクター造形が、めっちゃウザい(笑)。リンゴをかじるくだりとかさ……。「えぇぇぇ!」って。

レイジ カッコつけながらリンゴをかじってましたね(笑)。あれはキツかった。

小出 アニメならギリでアリにできるかもしれないけど、実写だとね……。逆に三浦春馬さんが演じたエレンはね、原作キャラクターの実写解釈としてはこういう感じになるかぁとは思ったんだけど、エレンの過剰な中二病的なウザさが際立ち過ぎていて(笑)。でも特撮パートに入るとすごく良いんですよ。特に往年の東宝怪獣映画や「ウルトラマン」シリーズへのリスペクトがすごくあって。

レイジ 監督さんはそっち系の偉い方なんですよね?

小出 完全にそうだね。「新世紀エヴァンゲリオン」の碇シンジの名前は樋口真嗣監督の“シンジ”からとったのよ。

レイジ へぇ〜! じゃあ、モロにマスターですね。

小出 エヴァはもちろん、「ふしぎの海のナディア」「トップをねらえ!」とかのGAINAX作品にも参加してるし、平成ガメラシリーズの特撮監督もやってるし、来年公開の日本版ゴジラの新作にも参加するし、現役世代では日本の特撮のいちばんすごい人だよ。今回の「進撃の巨人・前篇」でも、あれだけの人体破壊描写やってるしさ。あんなに攻めた特撮近年なかなか観れないよ。

レイジ 人がぐちゃぐちゃになっていましたもんね。清野菜名も!

小出 なってた、なってた(笑)。しかも、人体破壊というより、ほとんど食人描写ですよ。すごい攻めの特撮でしょ。そこにすごく僕はシビれました。

レイジ メジャー映画で、しっかりお金をかけて。

──食人描写は「サンダ対ガイラ」(1966年)とかの超本格的なアップデート。だから日本の特撮が観る側の下地にあるかどうかで、本当に印象が変わっちゃうと思います。

小出 そうですよね。あと、これは原作でも感じたことなんですけど、最初は巨人に対して、普通の人たちが大砲を使ったり壁を作ったりして対抗してるわけです。だけど、普通の人間の側にも巨人になれる人が現れて、巨人と巨人とが戦い合う。これって「ウルトラマン」だなって思って。この肉弾戦の様相がかなり色濃く今回の前篇には反映されていると思うんですね。

レイジ なるほど。

小出 でも「ウルトラマン」って、今回の映画みたいに肉片が飛び散ったり、人を食い散らかしたりは、さすがにしない。そのリアルで壮絶な特撮描写はすごく楽しめました。

 C-20150827-MK-0013※本連載の内容と写真は関係ありません。

C-20150827-MK-0010劇場チケット売り場脇に巨人のオブジェがあったので記念撮影をしようとしたのですが、モデル風の男女3人組がキメキメセルフィー撮影してたので、「やめようか……」と退散して外で撮影した我ら映画部。

[後編]につづく

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