Poet−type.Mが描く、夜しかない街・Dark & Darkの四季。夏の“冷たさ”と“追憶”

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Poet-type.M

門田匡陽によるソロ・プロジェクト“Poet−type.M”から『A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-』が届けられた。“夜しかない街・Dark & Dark”の四季を描くコンセプト・ミニ・アルバム第2弾の“夏盤”。海外のインディーズ・ロックとリアルタイムでリンクしたサウンド、“追憶”“情報”をテーマにした歌をじっくりと時間をかけて楽しんでほしいと思う。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之


音像のチョイスはアーティストの個性

──“夜しかない街”をテーマにしたコンセプト・ミニ・アルバム『A Place, Dark & Dark』シリーズの夏盤『A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-』がリリースされました。前作の春盤『A Place, Dark & Dark -観た事のないものを好きなだけ-』に比べると、サウンドのエッジが増しているなと。

門田匡陽 今回は共同サウンド・プロデューサーとして楢原英介くんに参加してもらっていて。ずっとサポート・ギタリストとして参加してもらっている相棒みたいな存在なんですが、彼が春盤を聴いて「門田さんのデモのほうがいいですよ」って言ったんですよ。完成したCDに比べると僕のデモは、もっとゴツゴツしていて、粗削りで、勢いがある。彼のそのひと言で、CDにする過程でバランスを取ってしまい、そのプリミティブなパワーが薄れていたのかもしれないな、と気づいたんですよね。だからこそ、今回の夏盤には楢原くんにも入ってもらったんですが、その結果、音がかなりパワーアップしたと思います。

──サウンド・メイク、音像が、その音楽の印象を決めてしまうこともありますからね。

門田 そう、音像のチョイスはアーティストの個性ですから。あと、僕の作ってきた音楽は“甘くて優しい”という認識だったんですが、夏盤を作るにあたっては、夏の冷たさを表現することを意識していました。“夜しかない街”だし、現実の夏も、クーラーが効いている部屋は冷たいじゃないですか(笑)。

わりと真剣に意味を考えていた

──歌の世界については?

門田 ふたつのテーマがあるんですが、ひとつは“追憶”“追悼”で、もうひとつは“情報”です。自分のなかで夏というと、“追憶”“追悼”のイメージが大きいんですよね。東京の下町の出身だから余計にそうなのかもしれないけど、空襲の追悼式典、灯篭流しといった行事の記憶がすごくあるんですよ。隅田川の花火大会も、江戸の大火で亡くなった人たちを弔うために行われたのが始まりですから。僕はボーイスカウトに入っていて、そういった行事の警備をしていたんですね。だから、花火大会にしてもお祭りにしても、遊ぶためのイベントだと思えず、わりと真剣に意味を考えていたんです。

──子供時代のそういう経験は、現在の人生観にも影響している?

門田 ありますね。 “フェスティバル”というからには、何かを祀る、何かに感謝する、何かに“おめでとう”を言うとか……理由が必要なんです。それがないのにフェスと呼んではいけないと思うんです。花火大会も“わーきれい!”みたいには楽しめないし……難儀な性格ですよ(笑)。

──何事も本質を捉えようとするのでしょうね。ボンヤリと楽しむことができないというか。

門田 そうです。本質から目を背けたり、触れようとしないで、その場にいることはできないので。

それは形を変えた全体主義だし、すごく危険だと思う

──もうひとつのテーマ“情報”については?

門田 情報という言葉に対しては複雑な心境を抱いているんですよね。ネガティブに捉えてしまっているところもあるんですが、たとえばSNSで情報を共有したり、「いいね」をすることで、それが自分の言葉だと思ってしまうところがあるんじゃないかなって。単に横から流れてきた情報を共有しているだけなのに、それを自分自身のアイデンティティだと勘違いする……それは形を変えた全体主義だし、すごく危険だと思うんです。そのせいで、世の中全体がすごくフンワリしてるんですよね。情報自体には価値がないのにも関わらず、ヒップスターが「いい」と言ってるから共有する、ライフ・スタイルを真似る。いまに始まったことではないですけど、そういうことに実態はないですからね。

ひとつの勝利じゃないかなって

──その危険性は確かにあるし、我々が考えている以上に、意識や心理に影響を与えると思います。

門田 ヒップスターくらいだったら笑い話にもなるけど、これが例えば音楽メディアに影響力がある人だったら……その人が言うことを盲目的にシェアしたり、ツイートしても、そこに自分はいないですから。僕らが子供の頃って情報は街にしかなかったんですよ。中学の頃は、ライブハウスに早い時間に行って、入口あたりにあるフライヤーを集めたり。あと、CDショップに毎日のように行って「NME」や「メロディ・メーカー」(どちらもイギリスの音楽情報誌)を買ったり。今話したことを音楽に翻訳したのが、「その自慰が終わったなら(Modern Ghost)」という曲なんですけどね。ただ、あまりテーマに縛られないようにはしています。テーマから即したもの以外は入れられないと、音楽としてつまらないですから。ふたつのテーマも、歌詞のなかに少しだけ要素があるくらいなんですよね。

──秋には門田さんの主宰によるイベント『festival M.O.N -美学の勝利-』が開催されます。この“festival”の意味は何ですか?

門田 このインタビューでも自分が非常に難儀な人間であることを確認しましたけど(笑)、僕は“YES/NO”がハッキリしているし、思ってもいないことを愛想笑いでごまかすようなことも一切しないんです。そういうルールを自分で決めて生きてるんですけど、今回の“festival”は、その美学を貫いてきたことに対する“おめでとう”ですね。こういう生き方のままいまだに音楽を楽しくやれてるって、ひとつの勝利じゃないかなって。きっと僕は、何かに勝ったんだと思いますね。


リリース情報

2015.07.01 ON SALE
MINI ALBUM『A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-』
I WILL MUSIC

150703-YS-172302¥1,500+税
詳細はこちら


ライブ情報

festival M.O.N -美学の勝利-
09/26(土)愛知・名古屋APOLLO BASE
10/03(土)大阪・MUSIC CLUB JANUS
10/24(土)東京・LIQUIDROOM ebisu
詳細はこちら


プロフィール

ポエトタイプドットエム/門田匡陽によるソロ・プロジェクト。BURGER NUDS、Good Dog Happy Menを経て、2013年4月1日よりソロ・プロジェクト「Poet-type.M」として活動開始。音楽で綴る御伽噺『A Place, Dark & Dark』を4部作「春夏秋冬」の続編で表現している。

オフィシャルサイト

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