ミュージシャンの課外活動連載!「みんなの映画部」活動第16回[後編]

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Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今月は、各方面から絶賛の声が聞こえる世紀末アクション映画。小出部長は、開演前の劇場で期待が高まり過ぎてソワソワしてましたが、その感想は……。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)

活動第16回[後編]:『マッドマックス 怒りのデス・ロード
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ノザキくん(みんなの映画友達)

[前編]はコチラから

『マッドマックス2』は『北斗の拳』の元ネタである

──今回の新作が『マッドマックス』初体験で、ここからシリーズをさかのぼる人も多いだろうなあと。

小出 そうですね。まず『マッドマックス』シリーズを観たことない方に知識として言っておきたのは、最初の第一作(1979年)ってものすごい低予算映画なんですよ。のちに『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』に抜かれるまで、低制作費で莫大な興行収入となった映画の記録を持ってたらしいよね。

レイジ へぇ~。旧シリーズでマックスを演じたメル・ギブソンは当時完全に無名だったんでしたっけ?(編註:新作のマックス役はトム・ハーディ)

小出 そう。オーストラリアの新人監督がオーストラリア人のメル・ギブソンを主演にオーストラリアで撮った、完全にローカルなオーストラリア映画だったの。あと『マッドマックス2』(1981年)は『北斗の拳』の元ネタである、ということ。『北斗の拳』は知ってるけど、『マッドマックス』は知らないっていう若い子はたくさんいるだろうからね。最初の頃なんて、ほんとにびっくりするほどトレースしてたりする(笑)。

福岡 『北斗の拳』感は今回の新作にもすごくあったね。改造車とか。出てくる車、全部超いい! なんか作りたくならなかった?(笑)

小出 世界三大カッコいい車は、デロリアン(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』)、ナイト2000(『ナイトライダー』)、そして『マッドマックス』のインターセプターだから(笑)。インターセプターはシリーズ第一作からのマックスの愛車で、今回も冒頭に出てくる。

──あっこちゃんはどの車が好みでしたか?

福岡 ええとね、すっごい柔軟性がある槍が付いてるやつ(ニュークスカー)。あれ、めっちゃ欲しい。

レイジ 俺、敵の親玉のイモータン・ジョー(ヒュー・キース・バーン)が乗ってるやつ(ギガホース)が好きなんですよね。車が2台連なっちゃってる、みたいな。

小出 ムチャしてるよね。あそこまでいくと逆にミニ四駆ですよ(笑)。ちなみにマックスは元々警官で、第一作では奥さんと子供もいて幸せな家庭のシーンとかもあるの。敵もこの頃はまだ普通に“暴走族”っていう感じで(笑)。で、その暴走族が乗っているバイクはKAWASAKIとかHONDAのバイクだったりする。

レイジ じゃあ日本車なんですか。

小出 うん。それもあって、日本で人気に早く火が点いたシリーズなんだよね。

 

70歳のおじいちゃんでも、こんなにマッドなものが撮れるんだから……

──『マッドマックス』って実は根っ子に風刺劇の要素がありますよね。

小出 そうですよね。深いなと思ったのが、第一作の近未来の世界って、まだ今の現実世界と地続き感があるんですよ。そこから時間が経過すればするほど、事態は悪化していく一方で、どんどん物資がなくなり、『マッドマックス2』ではガソリンの奪い合いになるの。そのせいでみんなが縄張り争いをするし、仲違いが起きたり、徒党を組んでチームが出来ていったりする。

レイジ 『怒りのデス・ロード』になると、今の俺らの世界とは繋がりがないほど荒廃しまくってますよね。

小出 そう。例えば『2』では、インターセプターを誰かが「最後のV8エンジンだ」って言うわけですよ。V8エンジンって20世紀初期に大型乗用車用のエンジンとして開発されたもので、それを積んでるインターセプターってすごく貴重なマシンなんですよ。で、今回はその貴重さがさらに増して、なかば信仰の対象にもなっているというか。

レイジ 確かに。

小出 V8が未来の世界では貴重なものになっている。もはや車自体が信仰の対象になっていて、力の象徴でもある。

福岡 なるほど~。

──原始的になっているってことだよね。

小出 そうなんです。未来に進むほど、むしろ退化していっているのが面白いなと思って。今回も水の取り合いになっていたりとかさ。

福岡 実際そうなるぞ、ってことなんじゃないの? 緑の自然もないし。

小出 自然も文明も崩壊してるよね。今回、日常的なデジタル機器が一個も出てこないじゃん。

レイジ でも本当にデジタルなんてどうでもよくなる、みたいなメッセージ性もあるかもしれないですね。

福岡 最大の電気はエレキ・ギターだった。

一同 (笑)。

レイジ そこらへん、クリストファー・ノーランの『インターステラー』にも通じますよね。退化した未来像っていうところが。

小出 そうだね。さっきは「バカじゃないの!?」を連発しましたが、決してバカなだけじゃないんですよ(笑)。それでも理屈をちっとも前に出さないで、問答無用に楽しませちゃうエネルギーがすごい。70歳のおじいちゃんでも、こんなにマッドなものが撮れるんだから……まぁ、僕たちなんかよっぽど真面目ですよ(笑)。ダメだね、まだね。

福岡 うん、私らこんなんじゃダメだわ。モノを作る人間としては、もっとマッドにならないと。

レイジ ぶっ飛び方が全然足りないですね。

小出 ね。反省します!

 

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今回は、オープンしたばかりのTOHOシネマズ新宿のIMAX 3Dで観ました。IMAXはお値段プラスオンだけど、最高です(写真がブレているのは、レイジくんが興奮して震えているせい)。

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感想会の終わりに、前回のお土産を渡されたふたり。サンタからのプレゼントをもらったアメリカの兄妹のように喜んでました。

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