月刊 レジーのMステ定点観測 〜2015年4月放送分〜

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TEXT BY レジー(音楽ブロガー)

音楽ブロガーが『ミュージックステーション』を定点観測する!!

Mステの放送内容を元に最新のJ-POP事情についてお届けするこの連載。12回目となる今回からは「M-ON! MUSIC」に場所を移してお送りします。引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

4月のMステは、3日の3時間スペシャル(「桜・卒業・旅立ち…春の応援ソングスペシャル」)と24日の通常放送の計2回。少し寂しい1ヵ月ではありましたが、その中から気になった場面をピックアップしていきたいと思います。

BEGIN、福山雅治、サザンオールスターズ:仲良しアミューズ組

4月3日の3時間スペシャルにて最新曲「何度でも花が咲くように私を生きよう」を披露した福山雅治と、代表曲「島人ぬ宝」を歌ったBEGIN。デビュー日がまったく同じ1990年3月21日ということもあって、当時の思い出話に花が咲いていました。「BEGINさんはデビュー曲の<恋しくて>がビッグ・ヒット、僕のデビュー曲の<追憶の雨の中>はまったく売れなかった」「当時車を運転していたら、あんなに売れているBEGINさんが歩いていた」と福山が軽口を叩けば、BEGINの比嘉栄昇も「福山くんはいつもTシャツで。Tシャツしか持ってないのかな?」「この人はすごい人だなと。東京で車に乗っている人初めて見た」と応戦。悪口の言い合いみたいになっていましたが、それゆえ仲の良さが伝わってくる微笑ましいシーンでした。

3月31日のMステと同様にこの日のラストを飾ったのがサザンオールスターズ。10年ぶりのアルバム『葡萄』から、アルバムの1曲目を飾る「アロエ」、シングル・リリースもされた「東京VICTORY」、さらにテレビ初披露となる「はっぴいえんど」の3曲をパフォーマンスしました。個人的にグッときたのはメロウなバラード「はっぴいえんど」で、「日本語ロックを産み出した」と言われているバンドの名前が冠された楽曲を今の日本を代表するグループが歌うという図式に「日本が積み重ねてきたポップスの歴史」を感じました。ちなみにサザンと福山雅治はMステでの共演が初めてだったようで、番組の冒頭ではその話題について「夢が叶いました(福山)」「嘘つくな!(桑田佳祐)」とじゃれ合っていました。

BEGIN、福山雅治、サザン、いずれも芸能事務所のアミューズに所属するアーティスト。PerfumeやBABYMETAL、関連会社まで含めるとONE OK ROCKやSEKAI NO OWARIまで抱える大所帯ですが、大ベテランたちがお互いをリスペクトしながら楽しそうに音楽と向き合っているところにこの組織の強さの根幹を見た気がします。

ポルノグラフィティ、ゆず、和楽器バンド:異文化の取り入れ方

前述の3アーティストと同様にアミューズに所属しているポルノグラフィティは、24日の放送で最新曲「オー!リバル」を披露。冒頭やアウトロに登場するEDMアレンジからは、海外のチャート・ミュージックへの目配せを感じます。彼ら自身いろいろな音楽を聴いているようで、別の歌番組ではくるりや忘れらんねえよ、玉置浩二といった様々なジャンルのアーティストについて語っていました。

3日と24日の両方に出演したゆずが歌った新曲「OLA!!」は『映画クレヨンしんちゃん オラの引っ越し物語~サボテン大襲撃~』の主題歌。彼ららしい明るいメロディを引き立てるラテン調の演奏は映画の舞台でもあるメキシコに合わせたもので、編曲はヒャダインが手掛けています。途中に「コンドルは飛んでいく」のフレーズが引用されているのですが、この曲は元々ペルーやボリビアといったアンデスの民俗音楽なので厳密にはメキシコとは関係ないような……とも思いますが細かいことは気にするなということでしょうか。

同じく3日に出演していたのが、尺八や箏(こと)といった楽器をフィーチャーした和楽器バンド。YouTubeを介してすでに外国でも話題となっている彼らがこの日演奏したのは、もはや“ボカロ曲”の枠にとどまらない存在となっている「千本桜」。「ネットで公開されたボーカロイド楽曲が、テレビの歌番組で和楽器によって演奏される」というかなり複雑なシチュエーションになっていましたね。

EDM、ラテン、ボカロ、和楽器など、「古い/新しい」「国内/国外」など様々な音楽的要素が飛び交った4月のMステでした。「どんな素材でも飲み込んで、最終的にはたくさんの人が聴きやすい音楽になる」という今の時代のJ-POPの懐の深さにちょっと感動。

ニャーKB with ツチノコパンダ、HKT48:アイドル(というか秋元 康)の「本音」

4月3日に出演していたのが、AKB48の派生ユニットであるニャーKB with ツチノコパンダ。アニメ『妖怪ウォッチ』のエンディング・テーマとなっている「アイドルはウーニャニャの件」を披露しました。“やってられない清純派”など刺激的な歌詞が印象的なこの曲、作詞はもちろん秋元 康。この方らしいブラック・ユーモアではありますが、グループを統括している人が“白黒つけずにスルーでごめん”“ホントじゃないけど嘘でもない”という歌詞を通じてこれまでのいろいろなことを茶化すような構造、個人的にはちょっと苦手……。

一方、24日に出演したHKT48の新曲「12秒」の歌詞(作詞は同じく秋元 康)で描かれているのは、ファースト・キスの瞬間というアイドルらしいロマンチックなシチュエーション。48グループ得意の『男子目線のラブソング」ですが、今年の5月で57歳になる作詞家はどんなことを考えながら言葉を綴っているのでしょうか。ちなみにこの曲、サビのメロディとバンド・サウンドの絡みがかなりかっこよくておすすめです。

次回のMステは5月1日。僕の大好きなPerfumeやなにかと話題の剛力彩芽など、バラエティに富んだラインナップが出演するので楽しみです。それでは来月の連載もよろしくお願いいたします。

【2015年4月3日放送分 出演アーティスト】
Kis-My-Ft2「Kiss魂」
ゆず「OLA!!」
ニャーKB with ツチノコパンダ「アイドルはウーニャニャの件」
絢香「にじいろ」
BEGIN「島人ぬ宝」
ゆず「春風」
和楽器バンド「千本桜」
東方神起「サクラミチ」
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」
福山雅治「何度でも花が咲くように私を生きよう」
コブクロ「桜」「奇跡」
サザンオールスターズ「アロエ」「はっぴいえんど」「東京VICTORY」

【2015年4月24日放送分 出演アーティスト】
ゆず「OLA!!」
HKT48「12秒」
中山優馬「YOLO moment」
ポルノグラフィティ「オー!リバル」
aiko「夢見る隙間」
ももいろクローバーZ「『Z』の誓い」
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「STORM RIDERS feat.SLASH」

 

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