【GG】ACIDMAN・大木伸夫、結成以来20年間歌い続けた本当に伝えたい想いとは?

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ラジオのDJ、VJとして活躍するジョージ・ウィリアムズと“年齢”にフォーカスを当てて語り合う「George’s Generation(ジョージズ ジェネレーション)」。


第4回ゲスト:大木伸夫(ACIDMAN)

2月8日にシングル「愛を両手に」をリリースしたACIDMANの大木伸夫が今回のゲスト。結成20周年を迎え、ここまで哲学的な歌詞を綴ってきた大木が、実際に曲を通して伝えたいメッセージはどういったものなのか。これまでの歩みと共に変化してきたという彼の思考回路を紐解く。

TEXT BY 佐藤愛美


小学生時代~バンドを組むまで
こんな素晴らしいおもちゃを手に入れたら無敵だ

ジョージ 大木さんは1977年生まれということだけど、どんなお子さんでした?

大木伸夫 一般的な子供だったと思いますけど、当時から宇宙は好きでしたね。”この世界はどうなっているんだろう?“とか考えたり。それが小学生くらいの時。

ジョージ 興味をもったきっかけはなんだったの?

大木 親父に「宇宙には果てがないんだよ」って言われたことがあって、それからは頭で想像しきれないってことにワクワクしちゃって。宇宙人は絶対いると思ってたし、友達とUFO研究会とか作ったりしてました(笑)。

ジョージ そこが原点なわけだ。楽器を手に取るに至った経緯はどう?

大木 4つ上の兄貴がギターを弾いていて気になっていて。自分で初めて買ったのは中2の時。こんな素晴らしいおもちゃを手に入れたら無敵だなって思って、“これで食っていく”っていう気持ちがすでにありました。当時から周りに声かけたりしてたけど、中学生なんてまだ楽器やってる子が全然いなくて。

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大木伸夫(ACIDMAN)

ジョージ いいね。初めてちゃんとバンドを組めたのはいつ?

大木 高校の軽音楽部、正式な名前はフォークソング部だったんだけど。真面目な高校なのに、茶髪で制服を着崩していてカッコいいなと思っていたやつが、その部活の仮入部に来ていて。ボーカル志望って言うから、俺がギター弾くからバンドやろうってなったんです。実はそこの部活に佐藤(雅俊)君と(浦山)一悟君も所属してたんですよ。

ジョージ 高校生になってすぐ今のメンバーに出会ってたんだね!

大木 でも当時はふたりは別のバンドで、高1の冬にベースが辞めたのですぐ佐藤君に声かけて。一悟君は高校卒業してからですね。

ジョージ 後にボーカルが辞めて3人になったわけだけど、立ち位置が全然変わってきたでしょ。

大木 変わりましたね。当時はボーカルが歌いたいことを歌った方がいいと思ってたので、歌詞の内容は恋愛が多かった。3人になって初めて自分が歌詞も書くようになったから、そこで考え方がガラッと変わったかな。歌詞は音楽を超えた哲学だって気づきました。

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ジョージ・ウィリアムズ

2002年 メジャーデビュー
「NO」と言うのは簡単すぎて、受け入れるのは何倍も難しい

ジョージ そして2002年にはメジャーデビューしたわけだけど。

大木 デビューする前は下北沢ガレージで名もないバンドだったわけですけど、当時声をかけていただいたのが、(椎名)林檎ちゃんのディレクターの山口さんっていう方で。デビューしたいなんて全然思ってなかったけど、とても素晴らしい方だったので一緒に仕事をしたいと思ったんです。

ジョージ じゃあデビューしてからは、気合いもすごかったんじゃない?

大木 いや、何もわからないくせに生意気なことばっかり言ってた(笑)。デビューアルバムが目標3万枚だったんだけど、最終的に15万枚売れたんですよ。みんな喜んでくれたんだけど、俺はそこで冷めちゃって。「有名になりたいからやってるわけじゃない」とか言って、でも本当は音楽で有名になりたいはずなのに。当時ひねくれてたなあ……(笑)。

ジョージ (笑)。そのひねくれた感情はどんどん変わってきてるわけでしょ?

大木 そうだね。今は受け入れていくことの喜びを覚えたんですよ。全部「NO」と言うのは簡単すぎて、受け入れるのは何倍も難しいけど、そのほうが自分がレベルアップできるし。それに気づいて、まだ人間としては20パーセントくらいの完成度だと思うけど、良くなってきてると思います。

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自身の事務所立ち上げ
俺たぶん脳みそふたつあるのかな

ジョージ そんな今日取材させてもらってるこの場所は、自身で立ち上げた事務所「FREESTAR」なんですよね。

大木 元々独立欲は強かったんですよ。2013年にこれからの音楽シーンの流れを汲み取って、アーティストがセルフマネージメントできるくらいの力をもっていないとだめだなって思って。

ジョージ 立ち上げて4年ですけど、やっててどうですか?

大木 スタッフのおかげでやれているんですけど、今まで以上にやりがいがあります。当時は、ミュージシャンと経営者の脳って全然違うからねって心配されたけど。いざやってみたら、俺たぶん脳みそふたつあるのかなって。シビアなお金のことも、芸術的なことも考えられるからたまたま実現できたんだと思う。

大木伸夫の歌詞の世界
言いたいことって2行で終わるんです

ジョージ 大木さんの考え方に迫りたいんだけど、ACIDMANの歌詞の世界って、宇宙や死生観だったりして。こういうテーマで書いてる人ってあまりいないじゃないですか。周りの人にはどう言われる?

大木  “意味がわからない”って言われます。でも、それを狙っていた部分もあって。抽象画みたいな、無意味なところから生まれる偶発とかがいいんです。でもそれが最近は少し変わって、老若男女が大事なことに気づける言葉遣いを心掛けてますね。

この間、スペアザ(SPECIAL OTHERS)の芹沢に言われて嬉しかったのは「大木君の詩は読んだらわかんないんだけど、何が言いたいかは感覚でわかります。よく難しいって言われがちだけど、すごく簡単なことを歌っている気がします」って。

ジョージ 素敵な言葉だね。

大木 だから俺が言いたいことって2行で終わるんですよね。“この世界も宇宙も人間も死ぬ。だから今を美しく生きるべきだ”ってだけで、手を変え品を変えいろんな手段で伝えているだけなんですよ。

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最新作「愛を両手に」について
生きている作品を作りたい

ジョージ 2月8日にリリースされたシングル「愛を両手に」はその点どういう過程で生まれたんですか?

大木 曲自体は6、7年くらい前からあったけど、サビだけが作れなくて寝かしていたんです。3年前に僕のばあちゃんが亡くなったんですけど。亡くなる前のホスピスで、意思の疎通ができなくなったときに悲しみがすごく強くて。そのあと、泣きながらこのサビの歌詞とメロディーが一緒に出てきたんですよね。

僕は死後の世界を研究することで、亡くなった人を少しでも救うことができるかもしれないと考えていて。おこがましいけど、自分の音楽はそういう意味を成していきたいんです。死者に対して、「幸せだった?」って聞きたいんですよ。「ばあちゃん幸せだったかな?」って、その返事をひと言聞けたら死は悲しいものじゃなくなるんです。

ジョージ たしかに、聞けないことだからこそ、想いは強いものになるよね。

大木 僕自身はたとえ日々のなかで嫌なことがあっても、毎日幸せだなと思うようにしてる。そうじゃないと、残された人に「死んじゃってかわいそう」って思われるのも嫌じゃないですか。

ジョージ そうだね。そしてミュージックビデオを観て不思議だったのが、同じサビでも子供の場面、おじいさんの場面と全然イメージが違って聴こえたんだよね。

大木 目標としては「星の王子様」なんですよ。短い物語なのにすべてが詰まっていて、読む年齢によって全然意味が違ってくる。生きてる小説って感じがして、そういう作品を作りたいですね。

ジョージ バンドキャリア初のサウンドプロデューサーとして小林武史さんを迎えた意味合いは?

大木 音に関して何か変えたいというよりは、小林(武史)さんを人として好きになって。ある日突然僕をボーカルとしてイベントに呼んでくれて、初めてお会いしたんです。考え方とかに惹かれて人として一緒に作品を作ってみたかったんです。

ACIDMANの未来
楽しみながら60歳までやりたい

ジョージ 今の大木さんからバンドを始めた当初の自分に伝えられることって何かある?

大木 月並みなことしか言えないけど、バンドは最高だよっていうことかな。そして思ってるのより何倍もつらいから覚悟しとけよっていうことも言いたい(笑)。

ジョージ 逆に中2の大木さんが今の自分を見たらどう言うかな?

大木 「そこまでやるとは思ってないよ!」って。40歳までやってるのって(笑)。

ジョージ 一緒に突き進んできたメンバーに変化はあった?

大木 いい意味であんまり変わってないです。これまでは大木についていくって感じだったんですけど、最近はやるべきことをふたりで話し合ってくれたりするので。意識はどんどん高まってきてると思います。ここまでこれたのは本当にふたりのおかげだと思っているので。

ジョージ そして今後は20周年を締めくくる主催フェスも地元・埼玉で開催するわけだけど、どんなイベントにしたい?

大木 埼玉を盛り上げたいっていうのもあるし、ここまでこれたのは周りのバンドのおかげでもあるんですよ。ちっちゃいロック村で互いに刺激し合いながらじゃないとやってこれなかった。改めて感謝の意味も込めたメンツも集めたいと思ってます。

ジョージ 節目を越えて、バンドとしての目標を最後に聞かせてください!

大木 今までは流れに乗っていろいろやれたけど、きっと体力が落ちていくなかで上を目指す “戦い”なので。今まで以上に攻めていこうと思っています。とはいえ、無理はしない、この年なので(笑)。楽しみながら60歳までやりたいです。

ジョージ オートマモードで走らないってことね。

大木 そう。1個1個考えて、整備もちゃんとして頑張っていきたいです(笑)。

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ライブ情報

ACIDMAN 20th Anniversary 2man tour

詳細はこちら

SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”

詳細はこちら


プロフィール

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★ACIDMAN
アシッドマン/大木伸夫(vo、g)、佐藤雅俊(b)、浦山一悟(ds)。2002年にアルバム『創』でメジャーデビュー。

オフィシャルサイト

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★ジョージ・ウィリアムズ
日本とイギリスのハーフ。オルタナティブロックのDJ、VJとしてテレビ、ラジオ各局に出演する。

オフィシャルサイト


リリース情報

2017.02.08 ON SALE
SINGLE「愛を両手に」
Virgin Records

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この記事を書いた人

  • 佐藤 愛美

    佐藤愛美

    「M-ON! MUSIC」の編集/ライター。Instagram(@m_on_music)での名前は[まなたん]。音楽雑誌「ワッツイン」の編集を経験。このサイトの立ち上げに伴い、WEBの世界へ飛び込みました。