「SMAPをなかったことにはしない」とスタッフが意志を見せた、1月の「ミュージックステーション」

音楽ブロガー・レジーが、「ミュージックステーション」の放送内容を基に最新のJ-POP事情についてお届けする連載「月刊 レジーのMステ定点観測」。

1月のMステは20日の2時間スペシャル(いま聴きたい!ラブソングベスト10 20世紀vs 21世紀)と27日の通常放送の2回でした。前後編でお届けする今回、まずは2017年になって新たな時代を迎えたこの人たちの話題から。

 

「SMAP後」の時代のジャニーズ(1):舞祭組

2016年12月31日をもって残念ながら解散してしまったSMAP。「SMAPが存在しない時代」という少し前であれば想像できなかった状況になってしまっているわけですが、おそらく我々以上にその衝撃を受けているのがジャニーズ事務所に所属する面々なのではないでしょうか。

時代を切り開いてきた大先輩が不在となった今、自分たちに何ができるのか。今までは考えなくてもよかった問いに対してどうやってアプローチするのか、そんな問題意識の違いで今後のアウトプットの質や成長のスピードに大きな差が出てきそうな気がします。

1月のMステにはそんなジャニーズのグループが3つ出演しました。20日の放送に登場した舞祭組は、久々となる新曲「道しるべ」を披露。これまでのシングル曲とは趣の大きく違うバラード曲で、コンテンポラリーダンスや曲中のセリフなど表現の意匠にも挑戦が見られます。

この曲は4人が合宿の末に作詞と作曲を手がけたそうですが、“本当に2つに割れちゃうなんて”など解釈によっては昨年のSMAPの一件を想起されるような内容も……そもそもこのグループはSMAP在籍時の中居正広プロデュースによって日の目を見たわけで、初めて作った楽曲がそんな恩人への気持ちを綴るようなものになっていてもまったく不思議ではありません。

「“大切な人”への感謝を歌った曲」という形でこの曲を紹介し、その前後に「中居正広プロデュースによってデビューした舞祭組」という説明を繰り返し加えることで楽曲の文脈をはっきり伝えようとする番組の構成もグッドでした(ちなみにこの日の放送では他にも「らいおんハート」「オリジナルスマイル」の過去の映像が流れるなど、「SMAPをなかったことにはしない」とでも言うべきスタッフの意志を垣間見ることができました)。

 

「SMAP後」の時代のジャニーズ(2): KinKi Kids

舞祭組と同じ20日に出演していたKinKi Kidsは、「20周年ラブソングメドレー」ということで2000年代初頭の楽曲「もう君以外愛せない」「薄荷キャンディー」を立て続けに披露。

「薄荷キャンディー」は何かのドラマの主題歌だったなと思って改めて調べたら、2003年に放送されていた「元カレ」でしたね。まだ堂本剛も広末涼子も若かったよな、懐かしい……などと個人的な物思いにふけってしまいましたが、それと同時にこのグループの楽曲は時間が経っても(キンキのふたりが年齢を重ねても)違和感なく歌い続けることのできるものになっているということを改めて実感。デビュー曲「硝子の少年」の頃からその方向性は一貫しています。

ちなみにパフォーマンスの前には舞祭組の面々とそれぞれの楽曲やパフォーマンスをネタにしてじゃれ合っており、適度な距離感を保ちつつもフランクさや寛容さのある「いい先輩感」を醸し出していました。

SMAPの不在によって空白となっている「国民的グループ」というポジションですが、キャラクター的な部分ではKinKi Kidsにもそこを狙える資格があるのではないかと思います。

 

「SMAP後」の時代のジャニーズ(3):関ジャニ∞

27日に出演した関ジャニ∞は新曲の「なぐりガキBEAT」を披露。最近ではバンド演奏やレギュラー番組「関ジャム~完全燃SHOW」での有名ミュージシャンとの突っ込んだ対話など、音楽に造詣の深いグループというイメージが徐々に定着してきた感もある彼らの新曲の目玉は冒頭での横山裕のトランペット演奏でした。

パフォーマンス前から「(煽られると緊張するので)そっとしておいてほしい」と発言するなど緊張を露わにしておりどうなることかと思いましたが、本番では多少のミスはありつつもなんとか最後まで完奏。

エンタメ集団として着実に幅を広げつつあるこのグループが今後どういう存在になっていくのか、とても興味深いところです。

 

海外スター受け入れ機関としてのMステ(1):ブルーノ・マーズ

海外からのお客様が2組登場した1月のMステ。20日に出演したブルーノ・マーズは、2012年のアルバム『Unorthodox Jukebox』に収録されている楽曲「Treasure」とニューアルバム『24K Magic』のリードトラック「24K Magic」の2曲を披露。

パフォーマンス前にタモリから「今回歌うのはラブソングなの?」とその日の特集テーマに絡めた質問を受けると、その回答は「日本中のみんなが踊れる曲です」とそんな番組サイドの意図を完全無視したもの。海の向こうのスターに空気を読ませるようなことをしてもうまくいかないという好例でしたが、この日のステージはそんなちぐはぐなトークを忘れさせてくれる破格のカッコよさ。

「Treasure」のアッパーながらもスイートな雰囲気(こういうソウルテイストの楽曲は今でこそ日本でトレンドになっていますがこの方は随分前からそれに取り組んでいたことになります)、「24K Magic」の重心の低いグルーヴ、どちらからも世界的スターとしてのオーラが漂ってきました。

ライブ形式で行われたこの日のステージでしたが、お客さんの「盛り上がりたくなったら盛り上がる!」というストレートな反応もとても良かったです。

海外スター受け入れ機関としてのMステ(2): INABA/SALAS

同じく20日に登場したINABA/SALASは、B’zの稲葉浩志と世界的ギタリストのスティービー・サラスによるスペシャルユニット。ハードロック色の強い組み合わせですが、この日披露された楽曲「AISHI-AISARE」はロックを基調にしながらもディスコ風の雰囲気も感じさせるオントレンドなものでした。

クールな印象のある稲葉さんですが、他のアーティストのトーク中にはにやっとしている表情が映し出されており、久々のMステを楽しんだのではないかと思います。

[前編]はここまで。[後編]では今月多数出演した俳優さんたちの動向についてお届けします。2月3日(金)の配信をお待ちください!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー・ライター)

【2017年1月20日放送分 出演アーティスト】
back number「ハッピーエンド」
舞祭組「道しるべ」
ブルーノ・マーズ「Treasure」「24K Magic」
KinKi Kids「もう君以外愛せない」「薄荷キャンディー」
グリーンボーイズ「キセキ」「声」
西野カナ「Dear Bride」「トリセツ」
INABA / SALAS「AISHI-AISARE」

【2017年1月27日放送分 出演アーティスト】
きゃりーぱみゅぱみゅ「原宿いやほい」
関ジャニ∞「なぐりガキBEAT」
倉木麻衣「YESTERDAY LOVE」
The STROBOSCORP「アイオクリ」
E-girls「All Day Long Lady」
港カヲル(グループ魂)「Be my ライバル 〜カヲルが破壊に噛み付いた〜」

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