「君の名は。」よりも……。映画好きアーティストが選んだ2016年ベストムービー!!

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は、12月31日にJ-WAVEで放送されるハマ・オカモトがMCを務める年越し番組に、みんなの映画部のメンバーが出演した収録の模様を一部を再構成し、先行してお届けします!

活動第31回 特別編[後編]
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、世武裕子、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)


小出部長と福岡晃子が2016年ベストムービーを話す[前編]はこちら

ものすごくしつこいくらい泣かせにかかってくるんですけど……

ハマ それではレイジさんのベストムービーにいきましょうか。

レイジ 俺もやっぱり「シング・ストリート 未来へのうた」なんですけど、あれもよかったな、「湯を沸かすほどの熱い愛」。俺以外、誰も観てないですか?

福岡 私、観てない。宮沢りえさんの主演作だよね。

小出 俺も観に行けてないんですよ。

レイジ これ、説明するのが少し難しくて。結構複雑な話なので。

ハマ 頑張ってみてよ。

レイジ 頑張るの?

ハマ 面白いから少しがんばって頑張ってみてよ。

レイジ (笑)。それじゃ、少し頑張ってみるね。まずオチっていうか……。

福岡 オチから言うの!?

一同 あははははは!

レイジ ダメか(笑)。ざっくり言うと、少し前にお父さんが出ていってしまった家庭の話で、お母さんと娘のふたり暮らしなんです。しかも娘が学校でいじめられたりしていて、お母さんとは仲良くやってるんですけど、思春期の悩みはいろいろ抱えていて。そんなタイミングでお母さんが余命宣告されてしまう。

小出 余命宣告、というと難病で?

レイジ はい、「もう長くないです」という。そこから出ていったお父さんを探しに行ったりして、家族の絆を取り戻していくのですが、まあ本当にいろいろと二転三転あるんです。

内容的にはそういうことなのですが、もうとにかく、細かい登場人物や関係性だったりが複雑なのにも関わらず、観ていて結構わかりやすく、さほど長くない時間でまとまっていて。

しかもものすごくしつこいくらい泣かせにかかってくるんですけど、それがあざとくない。結果、しつこく感じないんです。役者の皆さんもすごく上手で。俺、「なんでこんなに?」って言うほどバンバン7回くらい泣いちゃいました。

福岡 へえ~。

小出 たぶん、邦画に多い「泣かせる問題」に対して警戒心はみんな高まってるじゃないですか。この映画部のメンバーは特に。それでもレイジが7回くらい泣かされるのってのは、すごいね。

レイジ なんだか泣いてしまいました。だって俺なんか「君の名は。」を観て、たぶんいちばんウワーってなるシーンで乳首ガン立ちしてましたから。

小出 知らねーよ!

一同 あははははは!

小出 そんな生理現象は知らないよ!

ハマ 対比になってないから(笑)。

レイジ でもとにかくその、「湯を沸かすほどの熱い愛」は良かったです。ぜひ観てほしい。感想を聞いてみたいです。

小出 乳首めっちゃかたくなるとか?

ハマ 俺はならなかったな、とか。

福岡 やめてよ、もう(笑)。

レイジ 太ももが痙攣しながら乳首かたくなったら最高ですね。

ハマ お薦めしてたはずなのに、台なしにしてるじゃん?

レイジ いやいや(笑)。でも俺は今年、好きな映画が多かったです「後妻業の女」も良かったし。「ノック・ノック」も「エクス・マキナ」も良かったです。

感動させにかかってくる邦画とはものすごく遠いところにある映画

ハマ 次は世武さんです。いかがですか?

世武 う~ん、ほんと難しくて。私はずっと洋画が好きで育ってきたんですけど、だけど今年はあんまり映画館に行けなくて。今までの人生で、かつてないくらい観てない1年だったんですよ、実は。しかも観たやつを振り返ると、ほとんど邦画だったことが、結構自分のなかでは「えっ!」て。そんな年、今年が完全に初めてだったと思う。

小出 へえ~、なるほどねえ。

世武 うん、それがすごい良かったね。

小出 えっ、なんだよ、良かったの!?

一同 あははははははは!

世武 ジワジワって感じでかなり好きだなと思ったのは、フランス映画の「アスファルト」なんですよ。こんだけ邦画邦画言って、洋画なんですけど(笑)。

ハマ それはどうしてですか?

世武 郊外の団地に住んでるいろんな人たちの話なんですけど、現実的じゃないシチュエーションと現実のものとがいっしょくたになっていて。さっきの「泣かせる問題」じゃないけど、そういう客との距離感でいえば、感動させにかかってくる邦画とはものすごく遠いところにある映画。

もちろんエモーションに語りかけてくる映画も好きなんですけど、「アスファルト」はもう完全に「お前と俺は関係ねえ」みたいな感じなの。私、そういうのもめちゃくちゃ好きなの。映画館に観に行って、監督さんが「私の作品こうです」って差し出していて、こっちはお金を払って観てます、みたいな作品との関係性が好きだから。

ハマ なるほど、クールですね。

世武 私、音楽聴くときもそうなの。「あんたとあたしは関係ない」みたいなことがすごい好きだから。そういうタイプの映画のなかでは、とても優秀な映画だったと思う、「アスファルト」は。こっちは「観ただけ」なんだけど、結構引きずるっていうか。なんかわかんないけど、めちゃくちゃ良かったんだよな、みたいな。

小出 なんかじゃあ「味わい」みたいなものにずっとやられてる感じだ。

世武 そうそう、なんかね、めっちゃこの建築いいわあ、みたいな。例えれば。

福岡 眺めてる感じか。

レイジ アートっぽい感じと言ったらいいんですかね?

世武 そ、なんかね、親友じゃないし全然連絡取んないんだけど、この人すごい好きっていう感じ。

ハマ それ、わかりやすいですね。観たくなる。

福岡 世武ちゃんてフランス語、普通に全部わかるやん(編註:世武はパリ・エコールノルマル音楽院映画音楽学科を首席で卒業している)。そのフランスギャグみたいなのわかったりするの?

小出 フランスギャグ?(笑)

福岡 なんかさ、アメリカ映画ってアメリカ人がクスクスってなるとこあるやん。「フランスあるある」みたいなのでさ、笑ったりすることあるんかなと思って。

世武 あのね、言い回しは字幕になると、やっぱちゃんとした日本語でちゃんとした人が訳してるから、あ、それもうちょっと違うニュアンスのほうが面白くない? みたいなときはある。

ハマ やっぱりあるんですね。

小出 いいなあ、フランス語しゃべれんの。

ハマ うらやましい。

世武 フランス映画観るときは面白いかもね。

小出 ほんとは英語もわかったらいいよねえ。字幕なしで観られたらさあ、なんかこの面白さ、もっとわかんのかなっていう映画もあるもん。

ハマ そうですね。でも俺、「アスファルト」すごい観たくなりました。

小出 ね、興味ありますね。

世武 うん、ぜひぜひ。

音楽をやっている人間としてはお薦めしたい

ハマ では、次は僕が。たぶん「スター・ウォーズ」の話になると怒られるので……(番組後半で話す予定のため)、僕は「スター・ウォーズ」以外で映画部的に観に行ったやつでいうと、実は「貞子vs伽耶子」がずっと引きずっているぐらい面白かった。

小出 くっそ面白かったですよね。

福岡 めっちゃよくできてたもん。

ハマ あとは「シン・ゴジラ」もすごかったですし、僕も今年は邦画が面白かったなという印象は強いです。でも、それを踏まえつつも個人的なベストとなると……「エル・クラン」というアルゼンチンの映画がありまして。観た人いますか?

一同 観てない。

ハマ これは実際にあった事件を基にした話で、ある家族が実は秘密裏にとんでもない犯罪をおかしていたという。本当に少ししゃべるだけで結構なネタバレになってしまうので、ぜひ実際に映画を観ていただきたいです。

特徴的なのは、ずっとテンションが暗いことで。実録犯罪ものなのですが、いかにその事実をリアルに伝えるかというところにすごくフォーカスした映画で、いわゆる映画的な盛り上がりが一切ないんです。

にも関わらず、全然退屈しなかったんです。その理由のひとつとして、選曲がとても良かった(編註:キンクスの1966年の名曲「サニー・アフタヌーン」などが印象的に使われている)。

小出 なるほど。

ハマ 音楽をやっている人間としてはお薦めしたいです。とにかく今年はチェット・ベイカーの映画(「ブルーに生まれついて」)や、音楽レジェンドの伝記の様な映画も多かったですし、あと選曲がいい映画がやたら多かった印象がありまして。その中でも俺が推したいのが「エル・クラン」。あまり大きく広まっていないようなので、ぜひ観てほしいなと思いました。

小出 すごいね。実録犯罪ものでも「フォックスキャッチャー」(連載第12回)にはあんなにハマんなかったのに(笑)。

一同 あははははは!

小出 「エル・クラン」は観てないけど、わりと同じライン走ったはずでは?

ハマ わかります、ものすごくわかる。でも、紙一重で違ったんですよ。

福岡 「フォックスキャッチャー」ほとんど曲なかったしね。

小出 あれはずっと低〜い音がなってましたもんね、んーーーっていう。

ハマ 「エル・クラン」はそういう意味で、音楽に助けられたのかもしれない。

世武 なるほどね。

ハマ ということで、5人全員挙がったので、振り返ってみますか。「この世界の片隅に」「シング・ストリート 未来へのうた」「湯を沸かすほどの熱い愛」「アスファルト」「エル・クラン」ということですが、他に言いそびれていることはありますか?

レイジ 「GANTZ:O」よかったです。

小出 ああ、そうなんだ。

レイジ っていうか「湯を沸かすほど〜」、俺きちんと説明できてました?

福岡 できてたよ。後半すごいできてた。

ハマ どうしても乳首にさらわれた感じが……。

小出 乳首が全部持っていった。

レイジ やっぱり乳首で運びますよね〜。

小出 「やっぱ乳首で運びますよね」が、もうまたワケわかんなくなった(笑)。

福岡・世武 やめなさいよ!(笑)。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)

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本日のレイジくん。どこで手に入れたのか謎なカセットプレイヤーを身に着けていたので、チェックしてみると……。

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なんと中にはSHINeeのカセットテープが!(ぎゃふん)


番組情報

J-WAVE YEAR END & NEW YEAR SPECIAL TIME FOR MUSIC
12月31日(土)22時から1月1日(日)3時まで、J-WAVEにて放送

詳細はこちら

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