「この世界の片隅に」も!映画好きアーティスト5人が2016年のベストムービーをガチ語り!

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は、12月31日にJ-WAVEで放送されるハマ・オカモトがMCを務める年越し番組に、みんなの映画部のメンバーが出演した収録の模様を一部を再構成し、先行してお届けします!

活動第31回 特別編[前編]
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、世武裕子、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)


顔が引きつりながら泣いて、腿が痙攣した

ハマ こちら「J-WAVE YEAR END & NEW YEAR SPECIAL TIME FOR MUSIC」、みんなの映画部特別編です。今月は2016年映画総まとめとして、J-WAVE特番をかねて今年1年の映画をみんなでざーっと振り返っていこうと思います。どうぞよろしくお願いします。

小出・福岡・レイジ よろしくお願いしまーす。

ハマ さらに、すっかり連載の常連となっておりますゲストメンバー、映画音楽家で作曲家でもありますシンガーソングライターの世武裕子さんも参加してくださいます。

世武 よろしくお願いしまーす。

ハマ しかしまあ、今年はこのフルメンバーが揃ったことはほとんどなかったですね。

小出 そうですね。世武さんが参加されてからは初ですよ。

ハマ ですね!

小出 いや、いっつもスケジュールが合わないのはキミら(OKAMOTO’S)だから(笑)。

ハマ いや……、今年は全都道府県ツアーを回っていたので……。

福岡 だってハマくんと会うの久しぶりやもん。なんか前に会ったときより、顔がだいぶ大人になってる気がした。

ハマ さっき「いきなり10歳ぐらい老けた」と言われて。

一同 (笑)

ハマ さて2016年、今回はメンバーの個人的な年間ベストムービーを発表していきたいと思いますが、あまり厳密に「ベスト」と言うと選びづらいですよね?

小出 そうね、あくまで今日の気分で。

ハマ そうです、今日の気分。今この状態で選んでいただきたく思っております。

レイジ ちなみに小出部長とは、今年のド頭にプライベートで一緒に映画を観に行きました。

小出 ああ、そうだ。

レイジ 1月2日に「ヤクザと憲法」(暴力団の知られざる日常に迫った東海テレビ制作のドキュメンタリー)が公開になったので。これと「DOGLEGS」(障碍者プロレス団体「ドッグレッグス」の活動を追ったドキュメンタリー)を岡村靖幸さんと3人で観に行きました。

ハマ おお! この映画部の隠れ部員的な岡村さんと。

レイジ 実はオリジナルメンバー的な。

ハマ では個人ベストですが、まずは部長ですかね。部長から選んでいただければ。

小出 えーっと……そうねえ、まあ、本当に今日の気分ですけど、「この世界の片隅に」ですかねえ。

ハマ いきなり大玉が来ましたね。のんさんが声をやってらっしゃるアニメ。

小出 こうの史代さんの漫画を原作にした映画。これは京都でツアーの合間に観て来たんですけど、あの~(しばし考え込む)、う~ん、なんだろうなあ!

一同 あはははは!

小出 感動の仕方っていろんなのがあるじゃないですか。例えば僕だと特に、作品の構成に感動したっていうのがすごく多いんですよ。シナリオがすごいよくできてるなあとか、そこに撮り方とか音楽とかが重なって、がっちり一本の映画が構築されていることに感動して満足する、みたいなパターン。

だけど「この世界の片隅に」は、なんかもう自分の動物的な部分というか、人間的な部分というか、すごい原始的な部分で感動したという感じで。

一同 へえ~。

小出 広島が舞台で、戦時中のお話なんですよ。僕はあらかじめ原作も読んでいたし、どういう内容かも知っていました。そんな状態で観ているにもかかわらず、ある気持ちが湧いたんですよ。それは、ひと言でいうと「恐怖」というか。

まず、広島市内の実家に住んでいた主人公の女性がお見合いで嫁入りして、呉市に嫁いでからの生活が描かれるんです。そこから旦那さんの家族とだんだん仲良くなっていったり、街になじんでいったり、昭和初期の生活や風俗や日常が描かれていくんですよ。すごいハートフルだし、あったかい気持ちにもなる。

それが突然、あるときに、国内への攻撃が始まる。観ている気持ちとしては、ここで「描かれていなかっただけで戦時下」だということを思い出す。で、だんだん空襲警報が鳴る日常になっていくんですよね。だけど、警報も当たり前になってくんです。とりあえず防空壕入っとかなきゃ、みたいな感じの日常。でも戦争も進み、空襲も激化し、舞台は広島ですから昭和20年8月6日の決定的な悲劇もやって来る。

ハマ はい。

小出 そして、8月15日に終戦を迎えます。それまでは夜も警戒していなきゃいけないから、ろくに明かりもつけられなかったわけですよ。

でも戦争が終わってからは、夕方になると徐々に灯りを点ける家が増えていって、ごはんを炊く煙がね、家の窓から上っていく。それだけの景色がなんの説明もなく、ナレーションもなく描かれるんですけど、そこで俺もう、なんか顔面が引きつるくらい泣いちゃって。顔が引きつりながら泣いて、腿が痙攣してんの、なんか。

で、俺もなんでこんな泣いてんだろう? と。あとあと考えてみると、やっぱ(日常から空襲への移行が)すっごい怖かったっていう気持ちと、人々の営みが当たり前にあるって、こんなにうれしいことなんだなっていう。なんか安心して……それでもう顔面が痙攣するほど泣いたんだと思ったんです。

ハマ なるほど。

小出 この映画は何回でも観たいなって思うし、もし将来、自分に子供ができたら観てもらいたいなって思う映画だったんですね。だからこれがやっぱり今年のベストムービーだって、今日思った。

ミュージシャンが言葉にできないことを映画で言ってくれた

ハマ 「今日の気分」と言いつつも、ものすごくしっかりと解説してくれましたね。

福岡 ねえ(笑)。完全にベストムービーやん。さすが部長。

レイジ このあと喋りづらいですね。「なんか面白かったー」で終われないじゃないですか(笑)。

福岡 「この世界の片隅に」、映画部でやりたかったなあ。

小出 超ちなみになんだけど、俺、「この世界の片隅に」観終わったその足で「ブレア・ウィッチ」観に行ったの。ホラー映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の続編ね。あまりの食い合わせの悪さに愕然としたね。

一同 あはははははは!

ハマ それじゃ次はあっこびんですかね。どうですか?

福岡 えっとね、私的にはやっぱり「シング・ストリート 未来へのうた」。

ハマ はい、きました! これはもう。

福岡 1980年代のアイルランドを舞台にした、バンドを組む男の子たちのお話。あの、やっぱり映画ってさ、ラーメンを薦めるのと一緒で、その人にハマるかどうかってさ、情報だけではわからんやん。

小出 そうですね。

福岡 だけど、この「シング・ストリート」はもういろんな人に薦めた。これは絶対に面白いと思うし、バンドマンは絶対観てほしいなあって思ったんですよ。

こいちゃんと劇場パンフレットのお仕事で一緒に喋ったんやけど、この映画はミュージシャンが言葉にできないことを、映画で完全に言ってくれてるな、みたいなね。バンドしてる人は多分3回ぐらいは泣くんちゃうかなって思った。

小出 初心というか、初期衝動の部分というか。音楽始めるきっかけって思い出すと、すっげえダサいよね俺ら、みたいな。

福岡 そうそうそう。

ハマ 僕もレイジも観ていまして、やっぱり大好きなんです。あの「背伸び感」が本当にリアルでした。

小出 「形から入る」とことかね(笑)。最初はさ、憧れの誰かになりきらずにはいられねーじゃん。まだ音楽がまともにできてないから、形をまずやっとかないと。

ハマ そう、何かに変身しないと。変な服も着たりして(笑)。

小出 デュランデュランとかザ・キュアーとかのメイク真似してみたりとかね。

福岡 お兄ちゃんにデモテープ踏みつぶされたりもして、なんかもういろいろあるんやけど。

小出 ロックオタクのお兄ちゃん。70年代のデヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)みたいな見た目のね。

福岡 いいキャラだったなあ。そのお兄ちゃんに主人公の男の子が「このレコード聴け」とか、いろいろ教えてもらうわけよ。そういう日常の光景も良かったし、あとオリジナルの曲が異常に良かった。

ハマ 本当にそう思いました。

福岡 最高だったから。バンドものの映画で、オリジナルの曲作って、こんなにいい曲揃うことあるんや! っていう感動もすごいありました。

小出 まさにバンドマジックというか、そういう奇跡をさ、フィクションのなかで本当に見せてくれた音楽映画だったよね。

レイジ 楽曲が良すぎて、「いやいや良すぎでしょ、曲」って印象にならないのがすごい。

福岡 そうそうそう!

ハマ 説得力が本物でしたね。

小出 あとMTVの時代が舞台だからさ、「映像撮りたい」みたいなところも音楽にくっついてくるんだよね。そこも当時の時代背景に照らし合わせてみて、すごいよく出来た映画だなって。今の子だったらYouTubeにビデオ乗っけたいから、バンドやって曲作ろうぜみたいなことかもしれないよね。

福岡 うんうん、そうやね。だから80年代のMTVがすごいレトロで、ちょっとダサッって思ったりするように、2016年の「いかにも今っぽい感じの子」の映像をあとで観たらめっちゃ古いと思うかもしれんもんな。「YouTubeかよ! 懐かし~」とかって。

一同 あははははは!

ハマ 僕も映画を普段他人に「絶対観たほうがいい」という勧め方はあまりしないのですが、これはすぐメンバーに言いました、珍しく。「これは観て損はないよ、絶対!」って。本当にいい映画だった。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)

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収録現場はこんな感じでした。J-WAVEの年越し特番でMCを務めるハマくんの番組に映画部として参加するのは3回目。本放送でもワイワイやらかしてますので、ぜひチェックを!

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仲良しなあっこちゃんと世武さんは、お正月にもふたりで映画を観に行く予定だそうです。

ハマ、レイジ、世武がベストムービーを話す
[後編](12月31日18時配信予定)につづく


番組情報

J-WAVE YEAR END & NEW YEAR SPECIAL TIME FOR MUSIC
12/31(土)22:00~01/01(日)3:00
J-WAVEにて放送

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