欅坂46の初ワンマン。葛藤を繰り返しながらも、坂を登り続ける彼女たちが初めて見た景色とは?【ライブレポート】

欅坂46
欅坂46 初ワンマンライブ[第2部]
2016年12月25日@有明コロシアム

初ワンマンというひとつの夢が叶った喜びの涙だったのか、大舞台に対する緊張が引き起こした涙だったのか、それとも……。グループ最年長、21歳でライブ中のMCでは進行役を務める菅井友香はこの日、二度、涙を流した。一度目は、9曲目「キミガイナイ」だった。

TEXT BY 永堀アツオ
PHOTOGRAPHY BY 上山陽介


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結成から1年4ヵ月、鮮烈なデビューからわずか8ヵ月足らずで実現した1stワンマンライブの最終公演。

オープニングにデビュー前の彼女たちを収めた映像が流れた後、“右も左もわからなかった。どうしてできないんだろう。どうしてうまくいかないんだろう”という葛藤、“やる、やらないではないんだ。やるしかないんだ。平坦な道なんてない。坂道の先にしか”という覚悟、そして、“私たちは進む。ここに来てくれたみんなと行こう。坂の向こうへ”という決意がスクリーンに映し出された。やがて、「サイレントマジョリティー」のミュージックビデオを彷彿とさせる工事現場を模したステージに炎が灯され、ステージの最上段に欅坂46、けやき坂46(ひらがなけやき)の長濱ねるを加えた21名が横一列で登場した。

けやき坂46(ひらがなけやき)

けやき坂46(ひらがなけやき)

顔が見えないくらいに激しく頭を揺らす「大人は信じてくれない」では、メンバーが次々と倒れていくなか、ひとりだけ凛とした立ち尽くした平手友梨奈が「有明コロシアム、かかって来い」と低い声で呟いた。

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4つのグループに分かれ、ストリート系のダンスを見せたインタールードを経て、「語るなら未来を…」では平手を中心に、大きな繭のような形を作った。まるでミュージカルのようなダンスナンバーを立て続けに披露した彼女たちは、最初のMCで「大きな夢だった単独ライブを叶えられてうれしいです」と挨拶した。その顔には、これまでの活動を支えてくれたファンやスタッフへの感謝を込めた満面の笑顔はあれども涙はなかった。

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平手友梨奈

女の情念すら感じさせる平手のソロや、アカペラによる見事なハーモニーから始まったゆいちゃんずなどのユニット曲に続き、“スカートは風に広がる”という歌詞を体現した「制服と太陽」を歌い終えると、スクリーンには上村莉菜、織田奈那、齋藤冬優花、佐藤詩織らのインタビュー映像が流れ、数ヵ月前までは普通の学生だった彼女たちが抱えている不安や孤独が吐露された。そして、横たわる渡辺梨加を葬列の様に担ぎながら登場する9曲目「キミガナイ」が始まった。君がいない喪失感、一緒にいる楽しさを知ったあとの強烈な孤独感を歌った曲で、スクリーンには目に涙を浮かべながらパフォーマンスする菅井の表情が映し出された。

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ゆいちゃんず

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FIVE CARDS

涙の意味を理解する間もなく、ステージはプロジェクションマッピングによって、工場から校舎へ、さらに山手線の車内へと変わっていった。中盤では再び平手や長濱のソロやユニットによるパフォーマンスがあり、サンタの姿をしたメンバー全員によるラインダンスも飛び出したクリスマスコーナーもあった。そして、シングルの表題曲3曲を最後にまとめて披露するという潔くも強いセットリスト。クラシックバレエの要素も取り入れた最新シングル「二人セゾン」とポエトリーリーディングをフィーチャーした2ndシングル「世界には愛しかない」を歌い終えた彼女たちは、最後の曲に向かう前にこう語った。

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「私たちは負けない」(今泉佑唯)
「私たちは支配されない」(鈴木美愉)
「私たちは坂を登り続ける」(平手友梨奈)

戦国時代と称されたアイドルブームが沈静化し、過渡期と言われるようなった今、まっすぐに胸を突き刺すような強烈な眼差しと力強いパフォーマンス、そして、思春期ならではの視点で語られる社会的なメッセージも込めた歌詞でアイドルファン以外の心をも掴んだ、鮮烈なデビュー曲「サイレントマジョリティー」を全力でパフォーマンスした彼女たちは、息を切らしながら「これからも一生懸命に頑張ります」と語り、ステージを後にした。

グリーンのサイリウムで埋め尽くされた会場からの大きなアンコールの声に応えて再登場した彼女たちは、ここでようやく本音を吐露した。みんなが涙を浮かべるなか、メンバーを代表して、菅井がこの日、二度目となる涙を流しながらこう語った。

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「身の丈に合ってないと言われても仕方のないステージに立たせていただいて、怖いと思ったこともありました。まだまだ未熟ですけど、いつも笑顔をくださる皆さんに恩返しができるように、これからも頑張っていきたいです」

彼女たちの頭を悩ませていたのは、48グループや乃木坂46といった先輩たちが切り拓いてきたレールに乗せてもらい、実力以上の活動をさせてもらってるのではないか、ということだった。

たしかに各メディアや販売店、リスナーとの関係においては先輩たちの恩恵を受けているかもしれないが、こと、楽曲やパフォーマンスにおいては、他に類を見ない、独特のグループであることは断言できる。

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彼女たちはおそらく、アイドルシーンという枠を軽々と超えて、普段ポップスやロックしか聴かないリスナーをも希求する、新しいアイドル像を作り上げていくことだろう。その先陣となる苦悩、孤独感、胸の痛みを味わっているのであり、菅井の涙は新しい道を切り拓いていこうとする情熱、まだ自分の理想にはたどり着いていないという悔しさも入り混じった涙であると感じた。

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最後に、彼女たちは、初めて欅坂46とけやき坂46の総勢32名で歌う新曲「W-KEYAKIZAKAの詩」をクリスマスプレゼントとして初披露した。観客も一緒にサイリウムを使って踊れるという意味でも初めての曲だろう。しゃぼん玉が舞う場内にミラーボウルの光が反射、“一人じゃないよ/坂組だ”と歌った彼女たちは、この日、本当の意味でのスタートラインに立ったのだ。彼女たちの坂の上にある希望は、未来は、おそらく彼女たちが想像しているよりもはるかに明るく光り輝いているはずだ。

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SETLIST

01.大人は信じてくれない(欅坂46)
02.語るなら未来を…(欅坂46)
03.渋谷からPARCOが消えた日(平手友梨奈)
04.渋谷川(ゆいちゃんず/今泉佑唯、小林由依)
05.ボブディランは返さない(ゆいちゃんず/今泉佑唯、小林由依)
06.青空が違う(志田愛佳、菅井友香、守屋茜、渡辺梨加、渡邉理佐)
07.夕陽1/3(てちねるゆいちゃんず/今泉佑唯、小林由依、平手友梨奈、長濱ねる)
08.制服と太陽(欅坂46)
09.キミガイナイ(欅坂46)
10.山手線(平手友梨奈)
11.乗り遅れたバス(長濱ねる&欅坂46/今泉佑唯、小林由依、鈴本美愉、平手友梨奈、長濱ねる)
12.また会ってください(長濱ねる)
13.ひらがなけやき(けやき坂46)
14.僕たちの戦争(FIVE CARDS/上村莉菜、長沢菜々香、土生瑞穂、渡辺梨加、渡邉理佐)
15.手を繋いで帰ろうか(欅坂46)
16.誰よりも高く跳べ!(けやき坂46)
17.二人セゾン(欅坂46)
18.世界には愛しかない(欅坂46)
19.サイレントマジョリティー(欅坂46)
[ENCORE]
20. W-KEYAKIZAKAの歌(欅&けやき坂組/欅坂46、けやき坂46)

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